2011年2月20日日曜日

●200号記念誌上句会 投句一覧

200号記念誌上句会 投句一覧

たくさんの皆様に御参加いただきました。誠にありがとうございます。


以下に【選句要綱】および【投句一覧】を掲載させていただきます。

【選句要綱】

10句選でお願いいたします。

■選と選評はメールにて。篠 shino.murata@gmail.com まで。
※ワープロソフト文書等の添付ではなく、メール書面で結構です。

■期限:2011年227日(日)18:00

■誠に恐れ入りますが、選とコメントは統一書式(以下説明)にて頂戴いたしたく存じます。

〔選とコメントの書式〕

×××××××××××  ※選んだ句をコピペ
○俳号       「まる」+俳号
■……………………(俳号) 「しかく」+短評・コメント。俳号を( )で

選外の句へのコメントは不要です。
※披講(来週予定)の際、当該記事のコメント欄に、選外句へのコメントを含め、ご自由にどうぞ。

文頭のアキやインデントはとらず、改行+ベタ打ちでお願い申し上げます。
選に付していただいた俳号を、作者発表の際の御署名といたします。


【投句一覧】 47名様御参加

【万】

あたたかや糸ひつぱれば万国旗
うぐひすや万年床をせりだして
さえかえるお万の方のかくすメス
ジョン万次郎春風に鼻膨らませ
なだ万の皿の立派に蕗のたう
パチンコの玉一万個花の雲
バレンタインデー万力をゆるく締め
ポッペン吹く岬に万の頭蓋骨
雨に煙る八百万神春競馬
花粉症対策万全いざ出勤
岩山を削りし氷河幾万年
亀鳴くや万年床を畳めよと
恨めしや万病抱ふ老いの春
春ショール久保田万寿を二合ほど
春の山万歳三唱してゐたり
春愁の持ち重りせし万華鏡
春の宵万国旗など見せませう
春の星封じ込めたる万華鏡
春の風とは万国旗かもしれぬ
春は曙お万の方の不妊症
春愁の踊つてゐたる万華鏡
春愁や万年暦に焉(をは)りなく
春立つや万に一つの違ひなく
八百万の神々笑ひさざめき春
保険屋が万一売りに来て四月
万(よろず)の目 貼り付き睨む 裏まぶた
万の蓮眠る関さん革命見る
万屋が焚き火のごとくなくなりぬ
万力を締め上げてゆく春の月
万屋の真ん中に立つ午祭
万華鏡巡りて同じ黄沙降る
万歳に腕は裸となりました
万屋の店番になる風信子
万歳は傘と箒や雪だるま
万力に締めらるる棒冴返る
万障を繰り合はせたる朝寝かな
万太郎の文字ころころと草団子
万端の端から落ちる薮椿
万灯をもつて春夜の婿迎へ
万物が水であるなら春の水
万力に挟まれてゐる春愁
万札を八つ折りにして蜆汁
万力を締めたり鳥は雲に入る
恋猫の声や萬屋錦之介
露しとど万量生産・万両消費日の翌朝
朧月亀屋万年堂に入る
涅槃会のインクの漏るる万年筆

【有】

くず餅で有名な店のわらび餅
これよりは有刺鉄線鳥帰る
たましひの有無をいはさず鳥帰る
ダリア植ゑて有無を言はせぬをとこかな
バレンタイン有袋類のふりをする
ふきのたう有刺鉄線のある午後
ぶらんこの有りしところの空いてをり
海市いま見えますと有線のこゑ
絵踏みせし足裏に有り慈顔かな
亀有をくすぐつてゐる春の風
空有の貼紙剥がれゆく東風よ
啓蟄や有平糖の大人買い
江の島弁財天恋猫の有無
国有地より恋猫として現るる
桜湯や有袋類を裏返す
子狐と仙人花菜漬有〼
春の雲有蓋貨車の屋根に人
春昼の有袋類の袋かな
春昼や有閑マダムは蝶の面
雪間より有害図書の見えてをり
地中海よそ事の青さに屈有折
百千鳥有刺鉄線にて隔つ
野遊びや有袋類の全盛期
有りたるも無きに同じや春炬燵
有り体に言へば墓場のクロッカス
有り体に言わずにおれぬ磯巾着
有り体に包み隠さぬ枯木かな
有る者は 「無い」打ち消して 在ると知る
有楽町出社時間後四温晴
有機燐の人体離るる春の川
有限会社殺し屋殺す焼野
有刺鉄線すり抜け春の雀ども
有刺鉄線春が暴発する危険
有資格者といふ蝶も紛れ飛ぶ
有事とは起こさぬものよ春の風邪
有人飛行魚氷に上るごときかな
有線にユーミンの曲鳥雲に
有線の迷ひ人らし残る鴨
有線放送ボートレースが波紋呼ぶ
有田哲平枝に棘ある木瓜の花
有難い話じゃないか猫の恋
有明の春月なれど五十肩
有耶無耶にしてしまひたり雛あられ
有理数指折り数へ入学す
朧から有人ロケット天の舟
霾や有事なくても滅ぶ国
芹の水ひたして有卦のたなごころ

【引】

いつせいに椅子の引かるる桜かな
ガラス戸引いて湯気に人体与へけり
トンネルに牽引車入る春の雪
のどけしや索引何度読み返す
みつみつと索引つづく庭朧
闇を引く牡丹焚火の焔かな
引きこもりよろしくもぐる春炬燵
引き回され二月礼者の一日かな
引き金を引く指で引け寒の紅
引き際のわからぬままに踏絵かな
引き際を心得てをり咳ふたつ
引き算の宿題する子日の永し
引き時を知らぬ老兵亀の鳴く
引くときに音するドアや朧月
引く際のルルと波紋や鴨の池
引越のあとの畳と紙ふうせん
引金に三寒きたるひきにけり
引出しに浅蜊酒蒸国境線
引責のボスの項につちふれり
引鶴の業より発ちて業に降る
心臓と脳の引き合う二月かな
栄螺より闇を引つぱり出してゐる
鉛筆の線引いてゐる枯野かな
鴨引くや病原菌を撒き散らし
花祭たまご焼くとき油引く
空にある遠くの凧を引つぱりぬ
啓蟄や引導渡す口上は
綱引きて日の丸揚ぐる紀元節
黄梅やたくさんの犬に引かれ行く
綱引の綱のとぐろや龍天に
索引の一冊薄き二月かな
索引の文字の細かき余寒かな
春の蚊や引き戸がたつくラーメン屋
春一番彼女ら数人は引火する
春昼のジヤリジヤリジヤリと引きこもる
人格引き終えて拍手のお気軽
大根引く嶋引く神のごとく引く
淡雪の引き際早し障子引く
鳥引くや臍の緒のまだ濡れてをる
鶴引くや風と会話を交はしては
二ン月の紐引つぱれば灯りけり
日月の 引き合う余波に 岩崩る
梅の蘂だらりロナウド引退す
白鳥も二葉百合子も引きにけり
比良八荒引田天功の不思議
恋猫の月に引かれて猛りあふ
籤引や外れは紙風船とメンコ

【力】

あは雪や針葉樹より湧く磁力
けふ春の雪にいくばくかの浮力
しんきろう表面張力しんきろく
タンポポの力はいつも真下向く
つくしんぼ力むてふこと赤子にも
たんぽぽの絮を力の限り吸ふ
まつしろな力うどんのひかる春
やどかりの引つ込む力並でなし
愛の日や力(ちから)ボタンのごとき君
渦巻力持てなお止まぬ寄居虫の死
永き日や変なところに力瘤
岡持は力まずに持てはだら雪
看板に力王たびや枝垂梅
亀の頸断つにまつすぐ力ませて
魚は氷に力うどんに揚げし餅
金縷梅の風の力のぬけがらに
啓蟄や怪力少年頬赤く
拳闘家力石徹冴返る
光みな力となりぬ雪解川
菜の花の力みて蝶となる夜明け
詩は古く無駄力なす雪解川
手の甲に力む血管目貼剥ぐ
春の風春の風力計になる
春一番かな入力に切り替へる
春雪や上野へいそぐ人力車
春日影なにに喩へん力瘤
寝返りを打つにも力春炬燵
新入社員へんな力の入り方
蒼天の石榴を割るる力あり
大臣の力説虚し桃の花
脱力のポーズのままに冴え返る
胆力といふもの持たず草の餅
踏青や女は見せぬ力瘤
俳人の膂力を隠す春ショール
白魚を啜るや臍に力入れ
白梅の咲きしも今朝の力みかな
味噌豆を煮る一連の力足
目力でオリオンの膝伸ばしけり
力むなら力んでみせろいぬふぐり
力学や官女雌雛の日の暮るる
力山ヲ抜けど雛罌粟揺るるのみ
力石七つ並びて黄水仙
力無く 言葉の喉に 流れ落ち
力瘤見せて遠退くうかれ猫
恋の花影知らずコントラバスの軋み力
恍惚の眉間に力春の雪
朧夜の圧力鍋の微動かな

【雑詠】

いかに非日常自動接着剤
さへづりの端に石ころ跳ねにけり
だくおんだらけハーモニカはすっぱくとおく
ぶらんこの少女をダウンロードする
栄光と屈辱バレンタインデー
海風に雛酒の酔ひ醒ましけり
亀鳴くやハッブル宇宙望遠鏡
堅雪のあかるきところふみにけり
公園の時計は正午春ショール
降る雪たんもう背表紙の無い世界
佐保姫のリア友いない引籠り
指先に紅梅触るる肉の味
春の灯や優しさ世代てふ言葉
春の日に転がすトローチのさらら
春嵐なにもなくなりさばさばす
春を待つ木々の中なる給水塔
初花や蕊も花弁も真白なる
女性器の笑つてゐたる春灯
女性用シェイバー春の琺瑯に落つ
傷口の一針ごとに木の芽植う
新豚骨醤油拉麺の踏絵
人体は付根が多し春もよい
水温む頭の芯にある不安
石鹸玉吹く二百人いやもつと
戦争の知らない子らや土筆んぼ
卒園の子が覗き込む兎小屋
太陽光パネル働く涅槃西風
大蒜の串焼き追加夜の逢瀬
淡雪でつくるだるまのやうなもの
点滴の管ゆるやかに雪解かな
田螺田螺と二〇〇ぺん言うてみよ
桃の花添へてプレートランチかな
二百から那由他不可思議風光る
薄氷や終の栖という悪夢
父子草父とはならぬ子がひとり
風花の競馬中継無音なる
棒鱈やたんと喰ひたる成れの果て
木の上に登りたさうな春の鴨
夜の河口の寄せあふ舷の雪と雪
葉牡丹やらくがき帖に地獄など
立ち上がる 児子の額に 痣三つ
恋猫のスパムメールとともに来て
老いし身の命を取れや春の風邪
嗚呼飲むぞ名残の雪があがるまで
蘖や占ひ信じ北に行く
縷々と春他人のやうな右の耳
鮟鱇の万有引力なすがまま

以上