2011年3月5日土曜日

●200号記念誌上句会・選句一覧(5)

200号記念誌上句会・選句一覧(5)

お待たせいたしました。選句一覧と作者です。句数が多いので、1日1題ずつ、5日間にわたって発表させていただきます。

誤記・漏れ等お気づきのときは、shino.murata@gmail.comまでお願いします。

選句の際に頂戴できなかった選外コメント、ご感想、その他なんでもコメント欄にお書き込み下さい。≫コメントの書き込み方

多数のご参加をいただき、ほんとうにありがとうございました。



【雑詠】

いかに非日常自動接着剤  埋図
○知人
■接着剤って、工作でもしない限りあまり使わない、非日常なものですね。自動ならなおさら。(知人)

さへづりの端に石ころ跳ねにけり  どんぐり
○佐間央太○天気○牛後○鴇田智哉○山田耕司
■時計の振り子が二秒に一度鳴るように(佐間央太)
■さへずりには、そういう感じ、石ころが跳ねる感じがあります。「端に」という技巧は、この場合、かえって邪魔になっている感も(天気)
■「さへづりの端」が、囀りを聞く人の夢心地に割って入った異音を、うまく表現していると思います。(牛後)
■何だかおもしろい。ぽけっとしていたら、目の隅の方で石が、みたいな。(鴇田智哉)
■「さへづりの方」に、でもなく、「端の石ころ」でもない。「さへづり」というとらえがたい空間を意識でとらえ、「俳句」で見せている。(山田耕司)

だくおんだらけハーモニカはすっぱくとおく  知人
○笠井亞子○痾窮
■濁音……言われてみれば。この酸っぱさは……ハーモニカならではの。遠く……深い余情。(笠井亞子)
■これが作者が句として句会に投げた句で無ければ何言ってんの?だけど、「俳句」と言うのだから、その無謀に1票。(痾窮)

ぶらんこの少女をダウンロードする  鈴木茂雄
○苑を○廣島屋○瀬戸正洋○山田露結○藤幹子○学
■あやしさがヨロシイ句。(苑を)
■ダウンロードですね。これで決まり。まさに非実在青少年。(廣島屋)
■すごく嫌な感じ。だが、その、変な「嫌さ」に、僕は惹かれた。(瀬戸正洋)
■もしかしたら、少女の「画像」をダウンロードするのかもしれません。しかし、ここでは「画像」を省略することによって、少女そのものをダウンロードしてしまうようなシュールな印象になっています。ややアキバ系な感じがするのは「ダウンロード」の所為でしょうか。(山田露結)
■物悲しいです。PCの中あるいは携帯電話の中に、永遠にぶらんこする少女を閉じ込める。さみしい、さみしい、話です。(藤幹子)
■このぶらんこに類句なし。(学)

栄光と屈辱バレンタインデー  米男

海風に雛酒の酔ひ醒ましけり  中村 遥
○柳 七無

亀鳴くやハッブル宇宙望遠鏡  木野俊子
○風族○苑を○中村 遥○中塚健太○痾窮○めろ○柳 七無
■どちらもこの世にあらざるごときもの。(風族)
■「亀鳴く」がなんともよろしいです。(苑を)
■大いなる宇宙に浮かぶ巨大望遠鏡の実在と地上の実際には鳴くことはないであろう
〈亀鳴くや〉の情趣ある季語と取り合わせの面白さ。(中村 遥)
■絶好の取り合わせだと思いました。(中塚健太)
■この荒唐無稽の季語に宇宙は付き過ぎかと思うが単純さは俳句の原点。(痾窮)
■非現実と現実。些細と甚大。虚と実の遊び心は大事です(めろ)

堅雪のあかるきところふみにけり  義知
○めろ○学
■夜のわずかな明かりに光る堅雪が見えてくるようです(めろ)
■堅雪をよく見ている。(学)

公園の時計は正午春ショール  篠
○楚良
■春めいた女性の姿にうっとりです。(楚良)

降る雪たんもう背表紙の無い世界  佐間央太

佐保姫のリア友いない引籠り  痾窮

指先に紅梅触るる肉の味  すずきみのる
○学
■指先に 類句なし。(学)

春の灯や優しさ世代てふ言葉  中塚健太
○るかるか
■はかなげな「春の灯」を合わせる事で、その世代への批判になりえている。(るかるか)

春の日に転がすトローチのさらら  牛後
○風族○野口裕
■「さらら」がどうなのかというところですが私はいいと思いました。(風族)
■舐めてねっとりしているはずのトローチが、さららとは、春風邪の治りも早いのだろう。(野口裕)

春嵐なにもなくなりさばさばす  苑を

春を待つ木々の中なる給水塔  信治
○佐間央太◯憲武○鴇田智哉○学○篠
■木々の根をすり抜けてパイプが通っているのかと思うと密かに涙を禁じ得ませぬ(佐間央太)
■水彩画のような句。こういう淡い味わいも好きです。(憲武)
■心に沁みる風景。(鴇田智哉)
■春を待つの季語が効いている。(学)
■木と給水塔。空へ伸びてゆく縦の線が、待春の気持ちと響き合う。(篠)

初花や蕊も花弁も真白なる  池田瑠那

女性器の笑つてゐたる春灯  山田露結
○米男○痾窮
■こうエロスの欠片も無く、あっけらかんと言われたらしょうがない(米男)
■リアルでは面と向かう事も有りませんが(笑われているのかも知れませんが…)、ネットでは毛も剃り落としたあからさま映像、エロチックというよりファニー。(痾窮)

女性用シェイバー春の琺瑯に落つ  田中槐

傷口の一針ごとに木の芽植う  千代
○俊子
■その芽が花をさかせたら、気が狂うかも。このメタファの鮮明さに脱帽します。(俊子)

新豚骨醤油拉麺の踏絵  和人

人体は付根が多し春もよい  笠井亞子
○米男○田中槐○俊子
■たしかに付け根だらけだ。(米男)
■からだのなかの「付根」に注目したのは新しいのではないかと。春はうずうずしますし。(田中槐)
■考えればそうですね。付根から春が生まれるのですね。(俊子)

水温む頭の芯にある不安  瀬戸正洋
○池田瑠那
■何やら青春ぽいですね。(池田瑠那)

石鹸玉吹く二百人いやもつと  太田うさぎ
○杉原祐之○信治○楚良○野口裕○篠
■「石鹸玉」を一切に吹いた様子を写生。下五の「いやもつと」で石鹸玉の数がどんどん増えていきます。(杉原祐之)
■週刊俳句の風景と、とってもよろしいんでしょうか。おめでたい。(信治)
■二百人以上のしゃぼん玉とはどんな光景なんでしょう。「いやもつと」が良い表現です。(楚良)
■二百号おめでとうございます。(野口裕)
■「いやもつと」に明るさと余韻とめでたさと。壮観です。(篠)

戦争の知らない子らや土筆んぼ  学

卒園の子が覗き込む兎小屋  金子敦
○埋図○杉原祐之○苑を○信治○たゞよし
■昨日迄、動物がかりだった園児が、入学式の帰りに、また見にやって来た。新しい動物がかりの子が誰なのか気にしているのだ。(埋図)
■手堅いです。兎って何か気になる存在なのでしょうね。具象的に描いてあり、余韻があります。(杉原祐之)
■可愛い!(苑を)
■常識的内容ではありますが、かわいいかな、と。(信治)
■多分いつもと同じ目で覗き込んで、ただ「バイバイ」というくらいの卒園子。いつもと同じ感覚で駆け寄ってくる肥った兎。明日以降一生目を合わせることがなくなるかも知れないのに、その関係に涙などない。一期一会。(たゞよし)

太陽光パネル働く涅槃西風  一雄
○中村 遥○篠
■新しいものと古い季語の取り合わせの妙。(中村 遥)
■人目につかず動いているものと涅槃西風の取り合わせが面白く、早春っぽい。(篠)


大蒜の串焼き追加夜の逢瀬  正則
○栗山心
■肉食系カップルのデート風景。(栗山心)

淡雪でつくるだるまのやうなもの  恵
○るかるか○瀬戸正洋○金子敦○義知○千代○牛後○山田耕司
■「季語のやうなもの」俳句は危険ですが、これはアリかも。エロティック。(るかるか)
■雪だるまを作ろうとしたら、淡雪なので「のようなもの」になってしまった。僕らは、人生の端端でも、よく、同じようなことを経験する。(瀬戸正洋)
淡雪でつくるだるまのやうなもの
■「雪だるま」ではなく、「だるまのやうなもの」が可笑しい。(金子敦)
■堅くしまる雪だとかたちの工夫も容易でしっかりとした雪だるまが出来る。淡雪はつくったそばから融けてゆく。(義知)
■「雪だるま」と言うのに十七文字もかけたなんて。とても詩的。(千代)
■淡雪だからちゃんとした雪だるまにはならないのが、残念でもあり可笑しくもあり。(牛後)
■「だるま」と思って作った本人の「故意」がカタチにならない。何かを見立てるのではなく、未然に終わったことを、つい「だるま」と言ってしまうオカシさ。(山田耕司)

点滴の管ゆるやかに雪解かな  憲武
○学
■なるほど、納得がいく。(学)

田螺田螺と二〇〇ぺん言うてみよ  天気
○沖らくだ○千代○太田うさぎ
■十ぺん超えると超早足の大名行列みたいになった^^;映像的にはタイムボカンのミニロボ行進のように田螺が列をなしている。200号の記念キャラとして田螺に一票!(沖らくだ)
■ナンセンスと具体性。(千代)
■二百号への挨拶でありましょうが、持ってこられたのが田螺、の愉快。「タニシタニシ」と言っているうちに「ニシタ」になったり「シタニ」になったり。二百遍も唱えたらくちびるが田螺化していそう。(太田うさぎ)

桃の花添へてプレートランチかな  栗山 心
○金子敦
■桃色が鮮やかで、とても美味しそう♪(金子敦)

二百から那由他不可思議風光る  野口裕
○天気
■200号への挨拶句は意外に少なかったw みなさん、ガチで来てますね。そんななか、この句はしぶい。那由他まで、どんだけ飛躍する?(数十桁!)というおもしろさ。不可思議も数の単位ですが、未来の不可思議さも思わせてくれます(天気)

薄氷や終の栖という悪夢  沖らくだ
○栗山心○痾窮
■桐野夏生の「アウト」を思い出しました。現代的な怖さ。(栗山心)
■悪夢ですね!それを得る過程も得た後も。(痾窮)

父子草父とはならぬ子がひとり  山﨑百花
○知人
■父の立場になっても、子の立場になっても、複雑な心境になる句です。(知人)

風花の競馬中継無音なる  杉原祐之
○信治○佐間央太○藤幹子○中塚健太○池田瑠那
■電気店? 場外馬券場? ま、どちらでも。(信治)
■何処かの星の遠いターフの万馬券(佐間央太)
■固唾を飲むようなレースに解説はいりません。風花がスローモーションのよう。(藤幹子)
■聴覚が遮断されて、視覚を外から見ているような感じです。(中塚健太)
■大画面に映る競馬中継、そこを掠める風花。「無音」ゆえに、趣ある景になりましたね。(池田瑠那)

棒鱈やたんと喰ひたる成れの果て  たゞよし

木の上に登りたさうな春の鴨  鴇田智哉

夜の河口の寄せあふ舷の雪と雪  山田耕司

葉牡丹やらくがき帖に地獄など  藤幹子
○知人○佐間央太○天気◯憲武○恵
■「など」が効いています。ほそい線やふとい線、色とりどりの混沌とした地獄。そこにひょっと天国もあるかも。(知人)
■知り合いの奥さんがスプラッタ好きなのです。同い歳なのです。(佐間央太)
■らくがき帖は子どもが書いたものと解しました。そこに「地獄」w 本質をつくような凄みと可笑しみのある句。葉牡丹がとてもいいと思いました(天気)
■葉牡丹とらくがき帖の地獄絵。オツ。(憲武)
■葉牡丹がなんとも不気味。このらくがき帳には多分地獄があるのだ(恵)

立ち上がる 児子の額に 痣三つ  柳 七無

恋猫のスパムメールとともに来て  廣島屋
○風族○苑を
■うざい感じがいいです。(風族)
■開くと恋猫が飛び出して来るスパムメールだったのですね。雌猫探しするのか、傷を癒しに居座って丸まるのか。そんなこともあるでしょう。(苑を)

老いし身の命を取れや春の風邪  真鍋修也

嗚呼飲むぞ名残の雪があがるまで  るかるか
○沖らくだ
■もうすでに出来上がっている。それまで一緒に飲んでいた友達も帰っちゃった。店にはいい年のマスターがひとり。常連だし、しょうがないなぁと思いながら、マスターは店を閉めて自分もつきあう。雪で表の音も消えて静か。「名残の雪」でこんなに妄想させていただきました^^;(沖らくだ)

蘖や占ひ信じ北に行く  楚良

縷々と春他人のやうな右の耳  めろ
○瀬戸正洋○千代○米男○太田うさぎ○牛後○田中槐
■微かに絶え間なく続いている春。右の耳は他人のような気がするのだ。そういえば、ゴッホがコーギャンを殺そうとして果たさず、カミソリで切り落とした自分の耳も右側だった。それは、娼婦への贈り物としたのだ。そして、ふたりは、狂院と南の島へ行くことになる。(瀬戸正洋)
■「る」音の連なりが心地よい。右の耳はそんな音遊びをしている自分を冷静に見ているのだろうか。(千代)
■蝸牛は無事なのだろうか?(米男)
■不思議、というより鋭敏な感覚の持ち主なのでしょう。内容に深く立ち入る以前に韻律に魅了されました。(太田うさぎ)
■縷々と話をしているのは作者自身でしょうか。それを聞いている耳はもはや他人のよう、というところが面白い。(牛後)
■この右耳は何を聞いているのだろう。身体感覚から離れそうで離れない痛み。(田中槐)

鮟鱇の万有引力なすがまま  風族
○学
■いえる。(学)


15 件のコメント:

池田瑠那 さんのコメント...

上田さんこんにちは。さいばらさま初めまして。篠さま、この度はお世話になりました。

改めまして200号おめでとうございます。
週刊俳句、いつも眺めているだけなのですが、
今年の目標が「週刊俳句に何か書き込んでみよう」なもので、えいやっと記念句会に投句してみました。
「いつせいに椅子の引かるる桜かな」、思いがけず高点句となりうれしうございます。
私にとってはほとんどが未知の方との句会、ドキドキしながら参加しましたが、楽しかったです。
これ、選句コメントも読めるのがヨイですよねー。

いろいろとありがとうございました。ではでは。

百花 さんのコメント...

篠さん、お世話を有難うございました。
とても見やすい表示でした。

杉原祐之 さんのコメント...

今回初めてこのような企画に参加させていただきました。
これだけの規模を丁寧に編集いただき有難うございました。
普段接している句会と句風が違い、これはこれで面白かったです。
自分としては固く選句をしたつもりです。

鈴木牛後 さんのコメント...

篠さん、ありがとうございました。
たいへん楽しませて頂きました。
個人的特選句は、
「いっせいに椅子の引かるる桜かな」です。
この句は取っていなかったのですが、みなさんの選評を読んで納得です。

小早川忠義(たゞよし) さんのコメント...

たゞよしです。お初の方もそうでない方も。
もっと悲惨な結果に終わるんじゃないかと思っていたのですが、意外だと思って悦に入っております。

リアルでお会いして句会に参加するのも、ネットを通じて句会に参加するのも同じような興奮を覚えうるのは、言葉の力、俳句の妙の成せる業だと思っています。
これからも言葉を通じて何かしらの交流が参加された方とも見てらっしゃる方々とも持てますよう願って止みません。
最後になりますが、村田様お疲れ様でした。そして、週刊俳句200号本当におめでとうございます。

るかるか さんのコメント...

この度は大変お世話になりました。

心より感謝申し上げます。

金子敦 さんのコメント...

週刊俳句200号、
おめでとうございます!(^o^)

篠さん
まとめ役、お疲れさまでした♪
個性豊かな句が多く、
選句していて、とても楽しかったです。

笠井亞子 さんのコメント...

篠さん
たくさんの句のとりまとめ、ほんとうに大変だったと思います。おつかれさまでした。いつもと違う方々との句会で(当たり前ですが、感じ方もさまざま)刺激を受けました。ありがとうございました。
400号の時まで生きていたら、参加したいですわ。

近 恵 さんのコメント...

大量の句や選評を纏めるのはさぞや大変だった事と思います。篠さん始め編集の皆様、ありがとうございました。お疲れ様でした。
いろいろな句に出会えて、選をするのも句評を見るのも存分に楽しませていただきました。
私の拙い句も皆様に楽しんでいただけたようで、嬉しゅうございました。

1000号…いや、まあとりあえずは400号ですかね。ここからまた新しく楽しい何かが生まれる事を期待して。改めまして200号発刊おめでとうございました。

句数が莫大で迷った挙句に泣く泣く外した好きだった句を。

あたたかや糸ひつぱれば万国旗
保険屋が万一売りに来て四月
万歳に腕は裸となりました
いつせいに椅子の引かるる桜かな
まつしろな力うどんのひかる春
けふ春の雪にいくばくかの浮力
岡持は力まずに持てはだら雪
だくおんだらけハーモニカはすっぱくとおく
春を待つ木々の中なる給水塔
太陽光パネル働く涅槃西風

天気 さんのコメント...

選句数の関係で残念ながらいただけなかった句。

パチンコの玉一万個花の雲
ポッペン吹く岬に万の頭蓋骨
万太郎の文字ころころと草団子
朧月亀屋万年堂に入る
雪間より有害図書の見えてをり
引くときに音するドアや朧月
心臓と脳の引き合う二月かな
比良八荒引田天功の不思議
看板に力王たびや枝垂梅
石鹸玉吹く二百人いやもつと
卒園の子が覗き込む兎小屋
淡雪でつくるだるまのやうなもの

いつもと違った句会も楽しいです。

機会があれば、また参加したいです。

世話人の篠さん、みなさん、ありがとうございました。

Haiku Weekly さんのコメント...

書き込んでいただいたコメントが、スパム判定されてしまい(ブログ・サービスの自動)、掲示されなくなる不具合が生じています。

御自分のコメントが消えてしまっても、すこしのあいだお待ちください。

廣島屋 さんのコメント...

実は雑詠というのが一番苦手です。兼題に集中してうまく頭が切り替わらない(その必要はないのかもしれませんが)のかも。

人体は付根が多し春もよい
石鹸玉吹く二百人いやもつと

他にもありましたが、「石鹸玉」の句は挨拶句ですよね。こういう句が作りたいと思いつつ、なかなかうまくいきません。

rakuda さんのコメント...

篠さん、お世話になりました。
楽しい句会、ありがとうございました。

泣く泣くあきらめた句。

春ショール久保田万寿を二合ほど
万障を繰り合はせたる朝寝かな
万太郎の文字ころころと草団子
亀有をくすぐつてゐる春の風
引越のあとの畳と紙ふうせん
岡持は力まずに持てはだら雪
光みな力となりぬ雪解川
春一番かな入力に切り替へる
胆力といふもの持たず草の餅
ぶらんこの少女をダウンロードする
石鹸玉吹く二百人いやもつと
淡雪でつくるだるまのやうなもの
風花の競馬中継無音なる

ポッペンやハッブル望遠鏡の句は、読みが足りず、皆さんの選評でなるほどと思いました。
石鹸玉の句は200号だけでなく、今後まで言祝ぐ挨拶句だったなぁ、と今さらながら。

また次の記念句会でご一緒したいです。
ありがとうございました。

千代 さんのコメント...

句会全般に参加するのが2回目です(1回目もネット句会)。
この、率直な印象を吐露しあう場の、脳がひりひりするような魅力にとりつかれそうです。

篠さん、お世話様でした。
みなさま、どうもありがとうございました。

太田うさぎ さんのコメント...

ネット句会に少々後ろ向きな気分を持っていたところだったのですが、参加して良かったと思いました。これだけの方々といちどきに句会を持てるのはやはりネットならではでしょう。作るのも、選ぶのも、5日間結果を拝見するのも、まるごと楽しみました。

これだけの数が揃うと、充分読んだつもりでも見落としが出てきます。

 空にある遠くの凧を引つぱりぬ
 春を待つ木々の中なる給水塔

選句眼がまだまだだなあ。

取りたかったけれど、の句では

有田哲平枝に棘ある木瓜の花
 
 人名グッド!木瓜がちょっとつく感があるかと。

引き金を引く指で引け寒の紅
 
 カッコ良さに痺れました。「の」でなく「寒紅」ならピシッと決まったのになあ、と。

いずれも、10句に絞るための自分に対する言い訳のようなものです。

そのほか好き句の抜粋です。

恋猫の声や萬屋錦之介
あたたかや糸ひつぱれば万国旗
海市いま見えますと有線のこゑ
バレンタイン有袋類のふりをする
ぶらんこの有りしところの空いてをり
なだ万の皿の立派に蕗のたう
花祭たまご焼くとき油引く
栄螺より闇を引つぱり出してゐる
春一番彼女ら数人は引火する
看板に力王たびや枝垂梅
永き日や変なところに力瘤
手の甲に力む血管目貼剥ぐ
いかに非日常自動接着剤
ぶらんこの少女をダウンロードする

篠さん、投句と選句を受け付け、まとめ、発表、と大変な労力だったことと思います。ありがとうございます。
そして、このたび連衆となった皆様、ありがとうございました。
200号といった節目に限らず、突発的にまたこのような機会のあることを待ち望んでおります。