2011年10月6日木曜日

【俳誌拝読】『ににん』2011年秋号を読む 西原天気

【俳誌拝読】
『ににん』(vol.44 2011年秋号)を読む

西原天気


巻頭、清水哲男氏の短文「写真の目」(シリーズ・下連雀からの眺め 7)は、写真の裏切りについて。
偶然の介入による諸事情によって隠される物、逆に見えなかったものが露出されてしまうという事態。それらは撮影者の意図を簡単に裏切るばかりではなく、可視の世界を何度でも再構成するエネルギーに満ちていて興味は尽きない。
そして、そうした「カメラの目」に言えることは、むしろ「俳句の目」にこそ言えると結ばれる。

写真にこちらの意図と違うものが映ってしまう楽しさを、私もたびたび味わっているので、とてもよくわかる一文でした。俳句も、意図の外で言葉が結ばれるようになればいいのですが、こちらはなかなか難しい。


以下、同人諸氏の新作から気ままに。

  姫ごとも此の面さげて睦月かな  伊丹竹野子

  ペンキ屋の二階娼窟守宮鳴く  武井伸子

  かなぶんの花に潜りて花落つる  服部さやか

  稲妻の静かに走る静かな夜  新木孝介

  八月の柱一つを拠り所  岩淵喜代子

2 件のコメント:

岩淵喜代子 さんのコメント...

西原天気様
44号早々と読んでくださいまして
ありがとうございます。

tenki さんのコメント...

こちらこそありがとうございます。

記事にするのは久しぶりですが、
いつも楽しく読ませていただいています。