2012年1月21日土曜日

●新型携帯懐炉 野口裕

新型携帯懐炉

野口 裕


駅前で物を配っている人から、マンションのチラシを受け取ると、チラシの間に入っている物がティッシュにしては重い。今朝、開いてみるとティッシュではなく携帯カイロが入っていた。新型の携帯カイロで、繰り返し使用可能とのこと。

先ほど調べてみると、

  wikipedia(最近の各種懐炉の項

エコカイロ」という商品名らしい。中に入っているものは酢酸ナトリウムで、一般の携帯カイロのように鉄の酸化反応を利用するのではなく、酢酸ナトリウムの過冷却状態を利用するようだ。中に入っている金属製のボタンをねじ曲げると、液状の酢酸ナトリウムが一気に結晶化し始める。

過冷却状態はすぐに理解できたのだが、金属製のボタンをなぜねじ曲げるのか、ちょっと首をひねった。どうもボタンに仕掛けがあるわけではなく、ねじ曲げるときに発生する熱を利用するようだ。

そういえば、長さ15センチほどの針金を中央で折り曲げ、山にしたり谷にしたりの折り曲げを二三回繰り返すと、折り曲げた部分がかなり熱くなる。下手に触れるとやけどする場合もある。結局、その応用なのだと得心した。酢酸ナトリウムを利用することを思いついただけでは、まだ商品にはならない。中に金属ボタンを入れ、初めて商品として完成する。なかなか象徴的ではある。

ところで商品としての欠点は、発熱時間の短いこと。一時間ほどしか効果がない。朝、発熱させたカイロはもう冷えている。

  はや冷えて酢酸ナトリウムは机上  裕

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