2012年2月3日金曜日

●金曜日の川柳〔草地豊子〕 樋口由紀子


樋口由紀子








民意とはインゲン豆の蔓であり


草地豊子 (くさち・とよこ) 1945~

「民意、民意」と今や飛ぶ鳥を落とす勢いの橋下徹大阪市市長が何かにつけてよく言う。確かにあれだけの支持をもらったら、政治家として、言いたくなるのだろう。そして、強引であっても、理解されなくても、自分の政策を推し進めていきたくなるのだろう。だって「民意」なのだから、と。

川柳人は「民意」をこのように茶化す。「民意」と言ったって、インゲン豆の蔓みたいに陽の当たる方に伸びていく、いいかげんなものである。天気次第のようでいて、実は自分次第で、ひょろひょろと右だって左だって、上だって下にだって、どっちにだってどこにだっていく。政治家が考えているよりも自分勝手で逞しいものである。

ちなみにこの川柳は2004年に作られている。セレクション柳人番外篇『草地豊子集』(邑書林刊 2009年)所収。



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