2016年3月4日金曜日

●金曜日の川柳〔いわさき楊子〕樋口由紀子



樋口由紀子






半島と湾のあいだで平謝り

いわさき楊子(いわさき・ようこ)1953~

なぜ平謝りなのかは説明されてない。平謝りは自分の非を全面に認め、平身低頭してあやまることであり、あまりかっこいいものではない。が、そのかっこいいものでないことを半島と湾のあいだでするという。なんとスケールが大きいのだろう。こんな平謝りははじめて見た。不意打ちをくわされたようだ。

だが、「半島と湾のあいだ」って、一体どこだ?半島は陸で湾は海。絵に描いてみたが、ない。半島か湾になる。ということは謝るつもりはないのか。それとも、現実には存在しないが、言葉で作った「あいだ」で謝るというのか。ありそうでないところでの平謝り、それもありかと思った。

〈信用できるのは脚の太い馬〉〈身の丈のあわぬ竹輪を買ってくる〉〈二番目の姉があさって来るという〉 『らしきものたち』(2015年刊)所収。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

福井県、若狭湾、敦賀半島、関西電力?