2017年12月26日火曜日

〔ためしがき〕 数えていた 福田若之

〔ためしがき〕
数えていた

福田若之


電車の窓越しに風景を見ながら、ふと、自分が無意識のうちに何かの数を数えはじめているらしいことに気づく。

頭のなかで数が自動的に増えていくので、景色を眺めながら自分が何の数を数えているのか確かめてみると、それは視野に入った架線の支柱の数だった。そんなものを数えたからといって特に意味はないはずなのだが、気がつくとそれを数えていた。

書いていて嘘みたいだけれど、昨日あったほんとうの話だ。

2017/12/19

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